Finale PrintMusicを使ってみた

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一ヶ月ほど前ですが、finale PrintMusicというソフトを購入しました。これは楽譜を作成するためのソフトですが、普通のシーケンスソフトのようにMIDIで演奏させることも可能です。finaleシリーズは楽譜作成ソフトとしては業界標準になっており、最上位のfinaleから最下位のNotePadまで5つのバージョンが存在しますが、PrintMusicはその中間にあたるバージョンです。オーケストラの複雑な譜面を作成したいというのでなければ、PrintMusicは一番バランスの取れたバージョンだと思います。比較的値段も安いのでおすすめです。


これまでSonarやProToolsなどシーケンスソフトはたくさん使ってきましたが、楽譜作成ソフトというのは初めてでした。シーケンスソフトでも楽譜入力が可能なので、それで十分ではないかと思われるかもしれませんが、楽譜というものは非常に複雑で、すべて自動で任せるわけにはいきません。たとえば連桁の処理や棒の向きなど、手作業で修正しなければならない部分が必ず発生します。シーケンスソフトの楽譜表示は簡易的なものであり、入力したデータを確認する用途には十分ですが、出版レベルの楽譜に仕上げるには表現力が足りません。やはり専用の楽譜作成ソフトに勝るものはないのです。

ただ僕がこのソフトを購入したのは別に楽譜を作成したいわけではなくて、曲の構想を練るためです。僕はこれまで曲を作るとき、楽譜を書くことは全くなくていきなりシーケンスソフトに打ち込んでいました。もちろんそれでも曲はできるのですが、全体の見通しが立ちにくいため、どうしても成り行きで曲ができてしまいます。こういうとき楽譜という形で視覚化することができれば全体を見通すことができ、もっと構成力のある曲ができるだろうと思われるのです。

実際、楽譜にすることによって初めて見えてくるものもあります。中でも和声はその最たるもので、このメロディーにはこのコードがはまりそうだとか、逆にこのコードからこんなメロディーができるだろうとか、この音は明らかに不協和音になるだろう、といったことはやはり楽譜の上で考えた方がわかりやすいのです。もちろん紙の楽譜に書いてもいいのですが、書いたり消したりがめんどくさいのでコンピュータに慣れている人にはこの方が使いやすいです。さすが業界標準だけあって操作性もよく練られていて、ステップ入力はどんなシーケンスソフトよりも素早くできると思います。

さらに便利な点は、思いついたときに作業をすぐ開始できるということです。これは非常に重要なポイントで、起動や設定に時間がかかるようだとそれだけで意欲が削がれたり、せっかく思いついたアイディアが消えてしまったりします。PrintMusicはその点よくできていて、起動は10秒程度ですぐ立ち上がりますし、ウィザードによって必要な設定がすぐ行えるようになっています。起動から作業開始まで1分とかかないのですから非常にスムーズに作業に取りかかれます。そして入力した楽譜は内蔵シンセで即座に演奏して確認することもできるのです。これは紙の楽譜にはない大きな特徴ですね。

最終的にはProToolsなどにMIDIデータをエクスポートして仕上げることになるのですが、とりあえず構想を練る段階ではこのソフトが非常に役に立ちます。最近のシーケンスソフトは重すぎて起動するだけでもやる気を削がれると感じている方はPrintMusicを試してみるのも悪くないでしょう。

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