Presonus Studio One 2 購入のポイント

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これまでDAWにはProTools 8 M-Poweredを使ってきましたが、少し古いバージョンでもあり、次どこへ乗り換えるかでかなり迷っていました。機能的にはProTools 8 M-Poweredで何の不足もないのですが、どうも不安定なのとやたらに重いのが気になります。ProTools 8 M-PoweredもWindows XPではそこそこ調子が良かったのですが、Windows 7に変えた途端に変な動作が目立つようになりました。もちろん「使えないことはない」のですが、突然意味不明なエラーが出たり、XPとは明らかに異なる動作をする部分があるんですね。それにProToolsは昔からの歴史あるソフトですから高機能化とともに非常に巨大化しているのが難点で、立ち上げるだけでずいぶん待たされてしまいます。それだけで制作意欲を削がれることは間違いありません。

ProTools 8 M-Poweredからの乗り換えといえば、正統な後継であるProTools 10へ行くのが最も順当と考えられます。こちらはフルバージョンですからM-AUDIOのオーディオインターフェースに限らず、他社のオーディオインターフェースも利用可能となります。しかしProTools 8 M-Poweredからのクロスグレード版でも34,800円と決して安い額ではありません。そしてProTools 10に乗り換えたら何か劇的に良いことがあるのかといえば、それが何もないんですね。確かに同時に使用可能なオーディオトラックの数が倍になったりと、スペック面では大きく強化されていますが、ProTools 8 M-Poweredでも48トラック使用可能ですから、それで何の不足もないんですね。自分はそんな巨大なアレンジを行うことはなくて、多くてもせいぜい8トラック程度ですから、完全なオーバースペックです。それに同梱されているバーチャルインストゥルメントやエフェクト類もProTools 8 M-Poweredとまったく同じものですから、新鮮味がないんですね。ProTools 10に乗り換えたからと言っても何か目新しいものがあるわけではなく、見た目には今までとまったく変わらないのです。それならProTools 8 M-Poweredのままで十分じゃないかということになりますね。ProTools 10にしたら安定するという保証もないし、PCの要求スペックも上がってさらに重くなることは間違いないでしょう。しかもクロスグレード版はライセンスの交換という形になるので、アップグレードするとProTools 8 M-Poweredのライセンスは失われ、Windows XPでは使えなくなってしまいます。そういうこともあって、ProTools 8 M-Poweredはそのまま残すという結論になりました。

そこで次に注目していたのが、Presonus(プリソーナス)から発売されているStudio One 2というDAWです。たぶん聞き馴染みのない方も多いと思いますが、最近になって登場したソフトで今注目のDAWでもあります。なぜそれほど注目されるのかというと、一つには大変軽いということがあります。ソフトウェア本体はインターネットからもダウンロードできるのですが、サイズがわずか105MBしかありません。他のDAWだと数GBに及ぶものも珍しくないのに、驚異的な軽さですね。それでいて機能が少ないわけではなく、最新のレコーディング環境に適応した最先端の機能が満載されています。後発ソフトだけあって、メニュー構成がシンプルで洗練されているところもポイントです。過去の資産を引きずってきた他のDAWと違って、まったく新規に開発されたソフトですから、ファイルサイズが小さくても先進的な機能を詰め込むことが可能だったのでしょう。

Studio One 2にしようと思った理由は他にもあります。それはVSTプラグインに対応しているということです。一応ProToolsでもRTASという独自のプラグイン規格がありますが、メジャーなのはVSTの方で、フリーのプラグインも多数出回っています。とりあえずVSTに対応していればインストゥルメントやエフェクトの入手に困ることはありません。一方ProToolsの方はRTASの後継規格であるAAXへの移行がアナウンスされており、RTASをサポートするのはバージョン10が最後となっています。次期バージョンからはAAXしか使えなくなるわけで、そうすると今まで揃えたプラグインは無駄になってしまいます(そんなに持ってるわけではありませんが)。またAAXに対応したプラグインも今のところ数少ないですから、選択肢も限られます。ですからプラグインの豊富さでいえばVSTが圧倒的に有利です。今までVSTに対応したDAWを持っていなかったこともあり、これは大きな決め手になりました。あと、すでに64ビットに対応している点も見逃せません。今のところOSが32ビットなのですぐには恩恵を受けられませんが、OSを64ビットにすればただちに64ビットネイティブで動くのは魅力的です。ProTools 10はまだ64ビット化されてませんので、次期バージョンを待たなければなりません。つまり、さらにコストがかかります。

ということで、ProTools 10とさんざん迷った結果、Studio One 2に乗り換えることを決めました。Studio One 2には上位からProfessional, Producer, Artist, Freeと4つのグレードが存在しますが、最上位のProfessionalでも32,800円と、ProTools 10に比べればかなりリーズナブルな価格設定になっています。なおVSTに対応しているのはProducer以上になりますので、注意が必要です。さらに他のDAWからの乗り換えを対象としたクロスグレード版も用意されており、こちらはProfessionalグレード限定で24,800円とさらにお買い得になっています。代表的なDAWはすべて対象となっているので(ただし無償のバンドル版は除きます)、現在他のDAWを使っている人は絶対こちらを選ぶべきです。クロスグレード版を買っても今までのDAWが使えなくなるわけではありませんので、ご安心下さい。僕もReasonやProToolsを持っているので、迷わずProfessionalクロスグレード版を選びました。店によって多少の差がありますが、日本代理店のMI7 Japanから直接買うのが一番安いようです(アマゾン取り扱い)。

それで僕もアマゾン経由で購入しましたが、購入を検討する際にはデモ版をダウンロードして試用するのがいいと思います。保存も含めたフル機能が30日間試用可能で、その間に機能を十分吟味しておきましょう。なおデモ版を使用するにはメールアドレスを登録してユーザーアカウントを作成する必要があり、これは後に製品版を購入した際にも必要になりますので、アカウント名は忘れないように控えておきましょう。またデモ版とは別に無期限で使えるフリー版というのもあります。このフリー版というのがなかなか優れもので、VSTなどには対応していませんが、無制限のトラック数が使用可能で、基本的なエフェクトも装備されており、凝ったことをやらなければこれだけでも十分DAWとして活用できるものです。こちらはアカウントの作成さえ必要ありません。

ソフトウェア本体はグレードによる区別はなく、購入したライセンスによってのみ使える機能が変化します。ですからデモ版がすでにインストールされていれば、新たにインストールし直す必要はなく、購入した製品に添付されているプロダクトキーを入力するだけで製品版として使えます。DVDに収録されているものはバージョンが古い可能性があるので、インターネットからダウンロードした方が確実です。最初の起動時にはオンラインでのアクティベーションが要求され、このときに作成したアカウントが必要になります。インターネット接続が必要なのは最初のアクティベーション時だけですので、あとはネット環境がなくても使用可能です。ProToolsみたいにUSBドングルが不要なのも親切だと思います。またアクティベーションは最大5回まで可能で、5台のPCにインストールすることもできます。ただしOSの再インストールをした際にも1回必要になりますので、むやみにインストールしない方がいいでしょう。一応、5回を超えてもエムアイセブンジャパンに連絡すればリセットすることは可能なようです。

次にクロスグレード版を購入した場合の手続きですが、対象DAWのユーザーであることを証明する書類(ライセンスカードやDVDメディアなど)を画像として添付する必要があります。これは専用の申請フォームから購入後1週間以内に行うことになっています。僕はReasonのライセンスカードをデジカメで撮影して添付しました。ただし、この手続きを行わなくてもソフト自体は添付のプロダクトキーでアクティベーションすればすぐに使い始められますし、何ら制限がかかることもありません。もしこの手続きをしないとサポートやアップグレードが受けられなくなるようですが、ソフトまで使用不可になるのかどうかはやってないのでわかりません。(^^;

というわけで、今回はStudio One 2を購入するに至った経緯について説明しました。まだ導入したばかりで操作も慣れていないのですが、これから少しずつ使い込んで使用感をレポートしていきたいと思います。特にProToolsと比較してどうなのかを中心にレビューします。ちょうど良いタイミングでメジャーアップデートのStudio One 2.5がリリースされました。何とこれは無償アップデートです! バージョンアップはこまめに行われており、こういうユーザーフレンドリーなところもうれしいですね。これでますます強力になったStudio One 2から目が離せません。

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