Pro Toolsはこれまでプロ向けのレコーディングソフトという位置付けからオーディオのレコーディングに重点が置かれ、MIDI編集機能はどちらかと言えばオマケ的に扱われてきました。特に他のDAWで当たり前のように装備されている楽譜編集機能がありませんでした。ある程度音楽の知識のある人なら楽譜入力ができなくてもピアノロールだけで十分編集は可能です。実際、僕も楽譜入力はほとんど使わず、リアルタイム入力が中心です。しかし初心者にとっては楽譜入力ができるというだけでも大きな「安心感」があるのではないでしょうか? 楽譜が読めなくてもとりあえず譜面を写せばいいのですから細かい知識は不要です。そのため初心者向けのシーケンスソフトでは楽譜入力が特に重視されてきました。それを意識してか、Pro Tools 8ではついに楽譜エディタが搭載され、初心者にとってもぐっと取っつきやすいソフトになってきました。
楽譜エディタ
楽譜エディタは他のシーケンスソフトと同様のごくオーソドックスなものです。入力ツールを選べばマウスで音符の貼り付け、移動ツールを選べば音階や位置の移動、伸縮ツールを選べば長さの変更が可能です。もちろん調号や拍子の指定もできますし、コードネームやギターコードダイアグラムを表示させることもできます。譜表形式は大譜表のほか、ト音記号、ヘ音記号、アルト記号、テナー記号の5種類から選ぶことができます。また複数トラックを重ね合わせて表示することも可能です。
楽譜エディタでの編集はMIDIエディタと完全に同期しており、一方を編集すれば即座に他方に反映されます。もちろん楽譜の印刷も可能で、専用のノーテーションソフトと同等というわけにはいきませんが、そこそこきれいな品質で楽譜を出力することができます。出来上がった曲を確認するには十分な品質でしょう。
音楽の横方向の流れを見るにはピアノロールの方が向いていると思いますが、縦方向の音の重なりを見るにはやはり楽譜の方が見やすいと思います。僕は楽譜を書かずに曲を作っていくタイプなので、意外と全体像を把握していないことが多いのですが、楽譜として出力できれば全体を見渡すのに役立ちます。楽譜入力は使わないという人であっても、楽譜表示ができるだけでやはり助かることが多いのです。必須の機能ではないけれども、楽譜エディタの搭載によって初心者にとっても敷居がより低くなったことは間違いありません。
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